真心の募金に希望を託す


1997年8月に“AYAKA基金”で集った真心の募金を、小泉厚生大臣(当時)に届け、難病撲滅へ向けての熱い思いを伝える。その後も、2000年には津島厚生大臣(当時)、2001年、2002年、2003年には坂口厚生労働大臣に募金を届け、一人一人の小さな真心を大きな、現実の力と変えている。

“AYAKA基金”で出版された医学書

BOROが届けた真心の募金は、「精神・神経科学振興財団」を通して、筋ジスをはじめ難病の撲滅に向けて役立てられています。
また、研究書である「筋ジストロフィーは、ここまでわかった Part2」は、“AYAKA基金”の募金によって発刊され、その奥書きには下記の様に記されています。

“AYAKA基金”
綾佳ちゃんは兵庫県在住であった先天性筋ジストロフィーのお子さんです。9歳で短い人生を閉じられました。生前、綾佳ちゃんを偶然に知ったBOROさんは筋ジストロフィーの原因の解明と治療のために自分の音楽活動で得たお金の多くを「AYAKA基金」として役立ててこられたのです。BOROさんの心暖かいお申し出によりその基金の一部をこの出版に使用させて頂きました。ここに厚く御礼申し上げます。

2002. 6/17

厚生労働省の大臣室にて…

   

    右から、坂口厚生労働大臣、『埜中先生』、里吉 榮二郎会長 (国立精神・神経センター)
       埜中先生から素晴らしいお便りが届きましたので御紹介させて頂きます。

   筋ジストロフィーの撲滅へ


筋ジストロフィーの患者さん、その医療に携わる人。みなさんこの世から筋ジストロフィーが無くなればいいと思っています。むかし、死に至る怖い病気とされていた天然痘はこの世からなくなり、撲滅宣言が出されました。同じように、科学の進歩はこの筋ジストロフィーにもいつか撲滅宣言を出してくれると思います。ただ、それが一日も早く来ることを祈るばかりです。


筋ジストロフィーといっても、いろいろな種類があります。

その中で一番多いのがデュシェンヌ型といわれるものです。

男の子だけが罹る病気で、子どものときから筋肉の力が弱くなり、10歳ころ車椅子生活となり、その後は寝たきりとなります。呼吸筋が侵されるので、人工呼吸器が必要となります。青春の真っただ中、手足が不自由になるなんてとても残酷と思います。

つぎに多いのが先天性筋ジストロフィーです。

BOROさんのおともだちだった綾佳ちゃんもこの病気でした。この病気は赤ちゃんのときから発達が遅く、歩けるようになる人はまずいません。先天性の病気をもったお子さんの目は、なぜかとてもきらきらと、さわやかに輝いているのが特徴だといわれています。まつげが多く、長いこと、それにみなさんとても心が綺麗だから目が輝いているのでしょう。綾佳ちゃんの写真をみるとその通りですね。そういえばBOROさんの目もとてもきれいですね(ちょっと、余計でしたね)。


わたしが医師になって最初に就職したのが、国立療養所西別府病院というところでした。もう、30年以上にもなります。

その時、病院に筋ジストロフィー病棟ができました。九州のあちこちから筋ジストロフィーのお子さんが入院してきました。でも、みなさん、とても明るく元気で、病気には決して負けていませんでした。ただ、入院中のともだちが、肺炎になって亡くなられたときは、みなさんはとてもショックを受けられ、一緒に泣いてくださいました。一見元気でも、みなさんは心のどこかで、とてもつらい思いをしておられたのでしょう。そのころは筋ジストロフィーの原因も分からなければ、治療法の目途もつきませんでした。


1986年、今から16年前にデュシェンヌ型の遺伝子がどこにあって、どんな変化があるのかが明らかにされました。それはアメリカのクンケル先生の業績です。分子生物学的な研究方法を駆使して原因が分かったのです。すごいことです。

やっと長いトンネルから抜け出たことになりました。

デュシェンヌ型の研究をきっかけに、その他の筋ジストロフィーでも原因が明らかにされるようになりました。

BOROさんのおともだち、綾佳ちゃんの病気の原因も数年前に明らかにされました。

病気の原因が分かれば、次は治療への道が開かれます。

筋ジストロフィーは遺伝子の病気ですから、根本的治療への道は簡単ではないかもしれません。でも、理論的には筋ジストロフィーは撲滅できます。理論的にできることであれば、それは今の人間の知恵を絞れば必ず解決できるはずです。


筋ジストロフィーはたくさんの種類がありますが、そのほとんどは分子生物学的な研究から原因は明らかになっています。夢は広がります。次は筋ジストロフィーの根治をめざしての研究へと発展する道がひらかれたからです。今、日本は不景気の真っただ中です。でも、国の研究費の予算は削減されていません。BOROさんからも心のこもった研究費をいただいています。多くの方々の善意に支えられて、わたしは自分の研究ができることをとても幸せに思っています。わたしたちは、これからも筋ジストロフィー撲滅を目指して研究を進めていきます。

綾佳ちゃんの死をむだにせず、BOROさんの夢を実現させるためにも。


         
筋ジストロフィーの最新医学情報は
    http://www.ncnp.go.jp/hospital/
          でごらんになることができます。


       国立精神・神経センター 埜中征哉(のなか いくや)

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